ザガーロとプロペシアの違いについて比較してみた
- 2019.11.05
- プロペシア

現在、日本国内ではAGAという単語の知名度が高くなっています。
これはハゲ治療がある程度進んだ事で男性用のクリニックのCMを見るようになった事に起因していると思われます。
AGAの治療、AGAに限らなくても薄毛・ハゲの治療というのは原則的に薬の服用が中心となりますが、国内で薄毛・ハゲの薬として主力となっているのはミノキシジルとプロペシアです。
それぞれ効果が違う薬ですが、プロペシアは抜け毛を抑制する薬です。
長くプロペシアが高い影響力を持っていたハゲ治療の世界ですが、ザガーロという新薬の登場で市場に変化が訪れています。
今回はプロペシアとザガーロの違いを比較解説していきます。
プロペシアの完全上位版?ザガーロって何?
ザガーロはイギリスのグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)が製造販売している薄毛・ハゲの治療薬です。
元々は前立腺肥大症に対する薬としてアボルブという名称で販売されていたものですが、発毛効果が認められた事でAGAの治療薬として使用する事が認められました。
効果はプロペシアと似た様な物になっていて、頭皮や血流に作用するものではなく薄毛・ハゲといったAGAの原因となる5α還元酵素と呼ばれる男性ホルモンの効果を抑える効果があります。
臨床試験ではプロペシアの半分の用量で約1.6倍の効果がある事が明らかになっていて、後述するプロペシアとの比較から見てもプロペシアの完全上位である事が分かります。
また、AGAの治療薬でプロペシアと言えば、2015年にプロペシアの特許が切れた事で各製薬会社が第二のプロペシアのポジションを狙うべく、様々なジェネリック医薬品を製造販売している状況ですが、ザガーロは2009年にプロペシアとは別の成分で製造されているので、ジェネリック医薬品ではない点にも違いがあります。
ではそんなザガーロとプロペシアを比較してみましょう。
主要成分はデュスタテリド
プロペシアやプロペシアのジェネリック医薬品は主要成分にフィナステリドを使用していますが、これは言ってしまえばプロペシアとプロペシアのジェネリック医薬品に大きな差異は無い事も意味しています。
違いが出るのは価格や購入方法くらいなので歴史ある安心のプロペシアを選ぶかとにかく安く済ませられるジェネリック医薬品かといった選択肢が存在するのはメリットとも見る事が出来ますね。
一方のザガーロは主要成分にデュタステリドを使用している為、プロペシアとは全く別の医薬品というポジションに位置しますが、ジェネリック医薬品ではないという事でもあるので価格も高い事を理解しなくてはなりません。
プロペシアは1錠辺り約250円前後、30日分計算で大よそ8200円で、一方のザガーロは30日分で9500円前後です。
当然処方するクリニックによって価格に違いこそありますが、1300円の差だけでもかなり大きいです。
プロペシアのジェネリック医薬品であれば30日分で5000円にも満たない物が多いのでかなり高価である事が分かります。
そんな高価なザガーロですが、主要成分のデュタステリドはフィナステリドに比べて大きく違う点があります。
フィナステリドは5αリダクターゼ(還元酵素)のⅠ型にしか作用しない一方で、デュタステリドは5α還元酵素はⅠ型とⅡ型の両方に作用します。
これがプロペシアの1.6倍の効果を出す秘訣というわけですね。
5α還元酵素のⅠ型とⅡ型
ハゲ・薄毛といったAGAの症状は男性ホルモンがジヒドロテストステロンという発毛を抑え込むホルモンに変化する際に5αリダクターゼ(還元酵素)に結びつきますが、実は5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があります。
このⅠ型とⅡ型は効果が違うわけではなく、多く存在している部位と酵素としての強さが違います。
Ⅰ型は側頭部と後頭部の皮脂腺に存在しています。Ⅰ型が強い場合は前頭部と頭頂部の毛髪よりも側頭部と後頭部の毛髪が薄くなっていく事に対してⅡ型は前頭部と頭頂部の皮脂腺に多く存在しています。
勘のいい人ならわかるかと思いますが、Ⅱ型こそがいわゆるAGAの原因であり、プロペシアが作用する部位というわけです。
デュスタテリドはⅠ型とⅡ型に作用する為、プロペシアに比べて5α還元酵素の効果をより抑え込む事が可能で、これが結果として抜け毛を防いで発毛に導く事が出来るというわけです。
効果の発現までが比較的短い
プロペシアは臨床試験時に1年以内に効果があった人が約6割、3年以内に効果があった人が約8割という結果となっていますが、ザガーロは0.5mgを毎日服用した臨床試験では約8割の人に改善効果が認められています。
一般的にプロペシアやプロペシアのジェネリック医薬品は0.2mgと1mgの二種類が販売されていますが、デュスタテリドは0.5mgと1mgの二種類が存在しています。
デュスタテリド0.5mgはプロペシア1mgの臨床試験よりも改善効果が約1.6倍あった事も考えるとプロペシアに比べて即効性が高く、発毛・育毛効果も高い物があると見て良いですね。
デュスタテリドが薄毛・ハゲに対して高い効果を持つもう一つの理由として、効果が継続している時間が長い事も挙げられます。
プロペシア(フィナステリド)は服用して血液中に効果が広がってから6~8時間程で濃度が半分になりますが、デュスタテリドは血液中に効果が広がってから40~55時間(反復して服用した場合は最大4.6週間)程かけて濃度が半分になります。
つまり、二日近くは薬効があるため、継続して服用する事でザガーロの効果を維持し続ける事が出来るという大きな違いがあり、これがフィナステリドデュスタテリドの効果に差をつけている理由の一つと言えます。
副作用の発現率は高め?
薬効に関してはプロペシアよりも高いザガーロですが、注意点として副作用の問題があります。
国内で実施された長期投与試験によるとザガーロの非盲検試験では120例中20例の副作用が報告された一方で、プロペシアの二重盲検比較試験でじゃ139例中7例で副作用が報告されました。
パーセンテージで表せばザガーロは16.7%、プロペシアは5%の副作用発現頻度という事になります。
数字だけ見るとザガーロはプロペシアに比べて副作用の発現率は3倍近く違う事になり、高い効果を誇る一方で副作用のリスクを気にする必要性も出てきますね。
非盲検試験と二重盲検比較試験って何?
ザガーロとプロペシアの副作用を調べるにあたって行われたこれらの試験ですが、非盲検試験は簡単に言えばどんな治療をするのか被験者や医師等の当事者に知らせた上で行われる試験で、先入観による偏りが起こりやすい試験でもあります。
二重盲検比較試験は一切の情報を試験当事者に伝えずに行われる試験です。
つまり、ザガーロの試験については事前に内容を知らされている事から副作用に関するデータに関しては偏っている可能性があるという事で副作用の発現率に信ぴょう性があるかどうかは疑問視されています。
ザガーロとプロペシアの副作用に違いはある?
実際にザガーロとプロペシアで発現する可能性のある副作用を挙げてみると共通して確認されているのは性機能障害と肝機能障害、倦怠感(抑うつ)そして乳房障害が代表的です。
乳房障害は簡単に言えば胸が大きくなるという事で、ザガーロの服用によって男性ホルモンの活動を抑える事で相対的に女性ホルモンの働きが強くなり、胸が僅かに女性らしくなるという事です。
ザガーロは加えて頭痛、味覚の異常や発疹、精巣痛や精巣膨張といった副作用も確認されています・
また、見逃せない副作用として脱毛症と多毛症といった真逆の効果の副作用も確認されていますが、これらの頻度は確認出来ておらず、ザガーロの副作用なのか、それともほかの要因による物なのかは明確にはなっていません。
ザガーロとプロペシア、優秀なのはどっち?
ザガーロはプロペシアよりも後発の薬です。
薄毛・ハゲに対する効果はプロペシアよりも高い事は、一般的なAGAの症状である前頭部と頭頂部以外の毛にも有効である事や、プロペシアに効果が無かった人でも発毛効果があったという試験結果からも明らかです。
試験によればザガーロはプロペシアの1.6倍の効果を持っているという事からも、薄毛・ハゲが目立ってきた人にとってはプロペシアよりも効果が見込める事からオススメできる薬です。
しかしその一方で価格が高い事や、発現率こそ低いものの副作用の種類が多い事にも気を付けなければいけません。
幸いな事に重篤な症状になる副作用こそ確認されてはいませんが、知らずに服用する事と知って服用する事には大きな違いが存在します。
そういったデメリットを気にしない人にとってはザガーロの薬効は非常に魅力的と言えますが、どうしても副作用が気になると言う人はプロペシアで十分とも言えます。
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